寿司の具材の中でも、特に人気のあるのはマグロですよね。
トロのように脂が乗った部分も魅力的ですが、マグロの赤身も絶品です。
寿司屋でよく見かけるのが、赤身のマグロを使った鉄火丼やマグロを巻いた鉄火巻です。
しかし、なぜこれらの丼物や巻き寿司を「鉄火丼」や「鉄火巻」と呼ぶのでしょうか?
この記事では、次のポイントについて解説します
- 鉄火丼と鉄火巻における「鉄火」の意味
- 鉄火丼と鉄火巻の名前の由来
- マグロ丼、鉄火丼、ネギトロ丼の違い
「鉄火」の語源と多様な意味の解説
さて、「鉄火」という言葉は、熱した鉄が真っ赤に燃える様子から来ています。
鉄は刀や包丁などの製造に用いられ、加熱された状態で形を作ります。
この加工プロセス中に火花が飛ぶことからも、「鉄火」という言葉が使われるようになりました。
また、鍛冶の作業場を「鉄火場」と呼ぶこともあります。
鉄は熱が通りやすく、冷めるのも早い性質を持っています。
この特性から、「すぐに怒るが、すぐに冷める」という性格を「鉄火」と称することもあります。
また、鉄火という言葉は、熱い戦いや勝負事を象徴する言葉としても用いられます。
熱い鉄から火花が散るように、鉄製の武器も同じように描写されることがあります。
そのため、「鉄火」は戦場やリスクの高い状況を意味する言葉としても使われています。
賭博を生計とする人々や、賭け事の行われる場所も「鉄火場」と呼ばれるようになり、「鉄火打」という言葉も誕生しました。
鉄火丼と鉄火巻のネーミングの起源って何でしょう?
マグロの赤い色が想起させる赤熱した鉄
「鉄火」という言葉は、赤く輝く熱した鉄を指します。
実は、この色がマグロの赤身を醤油で漬けた時の色と似ているんです。
この類似点から、「鉄火丼」や「鉄火巻」という名前が生まれたと言われています。
手軽さが求められた江戸時代の寿司
江戸時代の寿司は現在とは違い、すぐに食べられる手軽な料理として親しまれていました。
この時代には、脂の多いトロよりも赤身のマグロが好まれていました。
特に、博打を行う鉄火場では、手早く食べられる料理が重宝されたため、海苔でご飯を巻いた巻き寿司が広まりました。
この中で、特に赤身マグロを使った巻き寿司が「鉄火巻」として人気を集めた、とされる説があります。
意外な材料を使った鉄火寿司
「鉄火寿司」がある一方で、これにはマグロは使われていません。
実は鉄火寿司には「芝エビ」がメインの材料として用いられます。
このエビを煮て味付けし、酢飯にちらして作られる「ちらし寿司」が、鉄火寿司と呼ばれるようになりました。
エビを細かく刻む様子が、博打をする人々の生き様になぞらえられ、「鉄火寿司」という名前が付けられたんです。
そして、この鉄火寿司に使われる具をマグロの切れ端に変えた巻き寿司が、今日の「鉄火巻」となったという説も存在します。
マグロ丼、鉄火丼、ネギトロ丼のそれぞれの特徴とは?
マグロを使ったさまざまな丼ものには、個々に特色がありますが、特にマグロ丼と鉄火丼の違いについて見ていきましょう。
マグロ丼はマグロの各部位を活用
マグロ丼には、マグロのさまざまな部位が使われます。
トロや赤身はもちろんのこと、骨の周りの身を活用した「ネギトロ」も人気です。
赤身は「づけ」にすることもあれば、そのままの切り身として使われることもあります。
これらの具材を豪快に白米の上に盛り付けるのがマグロ丼の魅力です。
鉄火丼は赤身マグロに特化
一方、鉄火丼ではマグロの赤身だけを使用します。
この赤身を「づけ」にすることもありますし、新鮮なものをそのまま用いることもあります。
鉄火丼では、一般的に白米ではなく酢飯を使います。
マグロ丼と鉄火丼の食べ方のポイント
どちらの丼も、ご飯と具を一緒に食べるも良し、別々に食べるも良しです。
通常は醤油を小皿に入れて提供されるので、具だけに醤油とわさびをつけると美味しくいただけます。
ただし、すでに「づけ」になっているマグロには、醤油を控えめにすることをお勧めします。
ネギトロ丼のユニークな特性
ネギトロとは、マグロの油っぽい部分をペースト状にしたものです。
このネギトロの名前は、マグロの中落ち部分を使うことが多く、「ねぎ取る」という作業から名付けられたと言われています。
ネギトロ丼では、通常、丼に直接醤油をかけて食べます。
しかし、醤油を多くかけすぎると塩辛くなるため、適量を小皿に取り、わさびと混ぜてからかけるのがおすすめです。
まとめ
マグロを使った丼ものはその種類によって異なる特徴があります。
マグロ丼はマグロの様々な部位を活用し、豪快に盛り付けられることが魅力です。
一方で、鉄火丼はマグロの赤身のみを使用し、酢飯と合わせることで独自の味わいを提供します。
また、ネギトロ丼はマグロの油っぽい部分をペースト状にしたネギトロを使い、特有の食感と味を楽しむことができます。
これらの丼ものは、それぞれに独特の歴史と文化を反映しており、日本の食文化の豊かさを象徴しています。
それぞれの特徴を理解し、自分好みの食べ方で楽しむことが、これらの丼ものの醍醐味でしょう。