サクサクの外側とふんわりとした内側が特徴のフレンチトーストは、特別な朝食にぴったりです。
家でも手軽に作れ、おしゃれなカフェで食べるとさらに美味しさが際立ちます。
フレンチトーストには洗練された美味しさのイメージがありますが、実はフランスが発祥ではない可能性があります。
それでは、フランスではどのようにフレンチトーストが食べられているのでしょうか？
今回は、フレンチトーストの起源と名前の由来、そしてフランスや他国での普及状況について詳しく見ていきましょう。
フレンチトーストの歴史とその名前の背景
その始まりは古代ローマに遡る？
フレンチトーストは、牛乳や卵、砂糖を混ぜた液にパンを浸して焼く料理です。
液の組み合わせやパンの種類によって味が変わるのが魅力です。
この料理はヨーロッパが発祥とされています。
4世紀のローマ帝国で作られた料理書「アピシウス」には、この料理の原形が登場します。
「アピシウス」には、牛乳に浸したパンを使ったレシピ、アリテル・ドゥルキアが記載されています。
現代のフレンチトーストとは異なり卵は使われていませんが、似た調理法です。
アメリカにおける「フレンチトースト」の名前の起源
この名前は、アメリカ人ジョセフ・フレンチに由来するとされています。
1724年に飲食業を営んでいたフレンチ氏が牛乳に浸したパンを「フレンチトースト」と名付けて売り出しました。
この「フレンチ」はフランスを指すのではなく、彼の姓だったのです。
フレンチトーストは世界中で親しまれていますが、その正確な起源についてははっきりとしていません。
フランスの伝統的な朝食「パン・ペルデュ」とは
フランスでは、私たちがよく知る「フレンチトースト」は「パン・ペルデュ（pain perdu）」という名前で親しまれています。
この名前は「失われたパン」という意味を持っています。
「パン・ペルデュ」とは、固くなった古いパンを牛乳で柔らかくし、再度美味しく食べられるようにする料理です。
この手法で、もともと食べられなくなったパンが再び美味しい料理に変身します。
この料理には主に、バゲットや濃厚なブリオッシュなどのパンが使われます。
フレンチトーストは通常朝食として思い浮かべがちですが、フランスでは「パン・ペルデュ」はデザートとして楽しまれます。
これにはアイスクリームやフルーツを添えたり、日本で人気のメイプルシロップをかけたりします。
さらに、「パン・ペルデュ・サレ」という塩味のバリエーションもあり、ベーコンと合わせて食べるスタイルも人気です。
世界中で愛されるフレンチトーストのさまざまな形
フレンチトーストは、日本ではお馴染みの朝食メニューですが、世界中でも様々なスタイルで楽しまれています。
香港のフレンチトースト「西多士」
香港でフレンチトーストは「西多士」として知られており、液に浸したパンを油で揚げるのが特徴です。
揚げたての西多士には、シロップやコンデンスミルク、バターを添えて贅沢にいただきます。
台湾のフレンチトースト「法國土司」
台湾では、フレンチトーストを「法國土司」や「法式土司」と呼んでいます。
卵を塗ったパンを鉄板で焼き、塩味が効いたツナやコーンなどを挟んで食べるのが一般的です。
スペインのイースター限定「トリハス」
イースターの期間にスペインで食べられるトリハスは、余ったパンに牛乳や卵を浸して焼き、シナモンシュガーをかけて作る甘いフレンチトーストです。
ドイツのフレンチトースト「アルメ・リッター」
ドイツではフレンチトーストは「アルメ・リッター」と呼ばれており、「貧乏騎士」という意味があります。
これは古いパンを再利用する伝統的なレシピにちなんでいます。
まとめ
フレンチトーストは、そのシンプルながら豊かな味わいで世界中の朝食テーブルを彩っています。
起源は古代ローマにまでさかのぼる可能性があり、ヨーロッパ全域で広まった後、アメリカに渡り「フレンチトースト」と名付けられました。
フランスでは「パン・ペルデュ」として、主にデザートとして楽しまれている一方で、香港の「西多士」や台湾の「法國土司」、スペインの「トリハス」、ドイツの「アルメ・リッター」など、各地で独自のバリエーションが生まれています。
この多様性は、フレンチトーストが単なる朝食の一品を超え、各文化に根差した料理へと進化してきたことを示しています。
日本でも、ふわふわの食感を活かしたスタイルで家庭やカフェで親しまれています。
これらの事実から、フレンチトーストは単に美味しいだけでなく、文化の融合と進化の象徴とも言えるでしょう。
