スペインの伝統料理「パエリア」:その誕生とバリエーションについて

パエリアの起源 食べ物豆知識
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世界各地で愛される米料理は様々ですが、中でも特別な味わいで人気の高い料理があります。

その代表例が、スペイン原産のカラフルな「パエリア」です。

スペイン全土で親しまれ、今では日本でも人気のあるこの料理について詳しくご紹介します。

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パエリアの誕生

「パエリア」とは、発祥はバレンシア地方と言われているスペインの米料理で、米、野菜、魚介類、肉などを一緒にスープで炊き込むものです。

元々はバレンシア地方の料理でしたが、現在ではスペイン全国で愛され、世界中にもその名を広めています。

パエリアに使う米は、「ジャバニカ米」という特徴的な細長い米で、粘り気が少ないことが特徴です。

この料理には特別な平たい鍋が使われ、焦げた部分も味わいの一つとされています。

サフランというスパイスを加えて黄金色に仕上げるため、見た目も華やかな料理です。

実は「パエリア」という名前は、もともとはこの料理に使う平たい専用鍋「パエジェーラ(paellera)」を指していました。

フライパンという言葉を意味するバレンシア語の「Paella(パエリア)」が、料理の名前として他地域に広まった時に、鍋の名前が料理名に転用されたのです。

また、「パエジェーラ」という言葉には、パエリアを作る女性を意味する側面もあります。

男性が作る場合は、「パエジェーロ(paellero)」と呼ばれます。

パエリアの起源と歴史的な経緯

バレンシア地方はスペインの主要な米栽培地帯として知られていますが、この地での米作りは比較的新しい歴史を持っています。

この地域に米作りが導入されたのは800年代で、イスラム教徒の影響が大きかったとされています。

700年代から1400年代後半まで、スペインの南部は断続的にイスラム勢力の支配を受けました。

この時期、キリスト教カトリックの文化と中東の文化が融合し、独自の文化が形成されました。

この文化交流の過程で、イスラム文化からもたらされた稲作や米を用いる食文化が根付いたのです。

こうしてパエリアはこの文化的背景の中で生まれ、バレンシア地方の人々に受け入れられ、次第に郷土料理として発展しました。

パエリアのさまざまな種類

海鮮パエリア

一般的に「パエリア」と言えば、ムール貝やその他の海産物を使用したバージョンを思い浮かべる人が多いでしょう。

ムール貝はヨーロッパ原産の貝で、日本ではイガイやミラサキイガイとして知られています。ヨーロッパでは特にフランスで人気のある貝です。

海鮮パエリアにはムール貝以外にもアサリ、エビ、イカなどが使われ、場合によっては鶏肉も加えられます。

日本で作る際には、シーフードミックスを使うと手軽に作れます。

バレンシア風パエリア

バレンシア地方で作られる伝統的なパエリアは、肉を主な具材としています。

この地域独特のパエリアには以下のような具材が一般的です。

・鶏肉
・ウサギの肉
・モロッコインゲン
・ガラフォン豆(白いんげん豆の一種)
・トマト

これに加えて、アーティチョーク(西洋野菜)やエスカルゴ(かたつむり)を入れることもあります。

エスカルゴはスペイン料理ではポピュラーな食材で、パエリアに加えるのも一般的です。

フィデウア:パスタを使用したスペインの料理

パエリアは通常、米を主成分とする料理ですが、米の代わりにパスタを使った変種も存在します。

このパスタバージョンの料理は「フィデウア」と呼ばれ、魚介類と一緒に2~3cmの長さに切ったパスタを炊き込みます。

このフィデウアは、カタルーニャ地方の漁師たちが発案した料理で、元々は米を使う代わりにパスタを使い始めたのが起源です。

イタリアとの貿易が活発だったことから、イタリア人の好みに合わせて発展したパエリアとも言われています。

パスタはイタリアの代表的な食材ですが、フィデウアはスペインの料理として確立されており、文化の交流が感じられます。

スペインではフィデウア専用のパスタが市販されていますが、日本ではあまり一般的ではないかもしれません。

日本でフィデウアを作る場合、細いパスタ「カペリーニ」を折って使う方法や、普通のパスタを折って使用する方法があります。

また、サラダ用のショートパスタを使えば、見た目にも楽しいパエリア風の料理を作ることができます。

まとめ:パエリアとバレンシアの多様性

スペインのバレンシア地方から生まれたパエリアは、米を使った色鮮やかな料理であり、その歴史はイスラム文化に影響された稲作と米食文化に由来します。

伝統的なパエリアは、魚介類や肉、野菜などを豊富に使い、独特のジャバニカ米を使用しています。

特にバレンシア地方では肉ベースのパエリアが一般的ですが、海鮮を使用したバリエーションも多く存在します。

また、パエリアの変種として、カタルーニャ地方発祥のフィデウアがあり、これは米に代わるものとしてパスタを使用し、イタリアとの貿易の影響も受けています。

これらの料理は、文化交流の結果として発展し、スペイン料理の多様性と豊かな歴史を象徴しています。

フィデウアやパエリアを通じて、スペインの文化を体験することは、異国の味覚と歴史を楽しむ素晴らしい方法です。

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