北海道を代表する料理の一つ、「ジンギスカン」。
この料理は主に羊肉を使用し、地域で広く親しまれています。
ジンギスカンの名前の由来や、その特徴的な鍋の形状には、ユニークな歴史が隠されています。
この記事では、ジンギスカンについての起源や歴史など解説していきたいと思います。
それではさっそく見ていきましょう!
では、ジンギスカンとはどのような料理なのでしょうか?
ジンギスカンは、羊肉(ラムやマトン)と野菜を合わせて焼く日本の焼肉の一種です。
この料理は通常、「ジンギスカン鍋」という特殊な鍋を用いて調理されますが、フライパンや他の調理器具を使うこともあります。
羊肉は醤油ベースのタレに漬けることで、独特の風味を引き立てます。
また、味付けしていない羊肉を使い、別のタレで味付けして食べる方法も普及しています。
北海道以外でのジンギスカン
北海道では、昔から軍用服を生産するために羊が多く飼育されていました。
このため、羊肉を食文化に取り入れることが大正から昭和初期にかけて進みました。
しかしながら、北海道だけではなく、岩手県遠野市や長野県長野市信州新町など他地域でも、ジンギスカンとして羊肉を楽しんでいます。
これらの地域では羊が飼育されていたため、羊肉は身近な食材となっていたのです。
「ジンギスカン」の名前の由来と歴史的背景
「ジンギスカン」という料理の名前は、13世紀初頭にモンゴル帝国を統一した伝説的な指導者、チンギス・カンに由来しているとされています。
彼の率いた軍隊が羊肉を主食にしていたことから、この料理名が生まれたという説があります。
しかし、モンゴルにはジンギスカンに似た伝統料理は存在しないため、この名前はおそらくイメージに基づいている可能性が高いです。
一方で、ジンギスカンのルーツとされる中国の伝統的な羊肉料理「カオヤンロウ」もあります。
この料理は満州で人気があり、串焼きスタイルが特徴です。
この料理が日本に伝わり、独自のアレンジを加えられて「ジンギスカン」として知られるようになったと考えられています。
また、日本の歴史上の人物である源義経がチンギス・カンと同一人物だという伝説に基づく命名説もあります。
源義経は平安時代末期の武将ですが、兄の頼朝によって追われ、奥州で命を落としたとされています。
しかし、一部の伝説では義経は生き延び、北海道を経由してモンゴルへ渡り、「チンギスカン」としてモンゴルを統一したと言われています。
このような伝説や、カオヤンロウの存在を知った駒井徳三という人物が、北海道の羊肉料理に「ジンギスカン」と名付けたと言われています。
駒井徳三は満州国の初代総務長官であり、中国料理にも精通していたとされます。
独特な形を持つ「ジンギスカン鍋」とその起源について
ジンギスカンを楽しむ際に用いられる、「ジンギスカン鍋」と呼ばれる特徴的な鍋は、中心部がふくらんでいるのが特徴です。
この鍋の設計では、肉汁やタレが中心から溝を伝って外側に流れるようになっており、外側に溜まったタレで野菜を味付けします。
このため、野菜にも肉の美味しさが染み込み、一層おいしい味わいが楽しめます。
さらに、ジンギスカン鍋には中央に穴が開いているタイプもあり、こちらは肉汁やタレが直接下に落ちる仕組みです。
このスタイルは主にアウトドアでの使用に適しており、焼肉のような風味を味わうことができます。
これらの鍋は主に鉄製ですが、使い捨てが可能なアルミ製のものも販売されています。
特に北海道のコンビニエンスストアでは、肉と一緒にアルミ製のジンギスカン鍋を見かけることもあります。
チンギス・カンの兜との関連
ジンギスカン鍋の形状は兜を連想させますが、「チンギス・カンの兜を模した」という説もあります。
しかし、モンゴルにはジンギスカンという料理が存在しないため、この説は後付けである可能性が高いとされています。
遠野市の「ジンギスカンバケツ」
岩手県遠野市では、「ジンギスカンバケツ」と言われている独自の調理器具があります。
このバケツは通気穴が開いていて、固形燃料をその穴に入れて、その上にジンギスカン鍋を置いて加熱する仕組みです。
コンパクトで屋外で使うのに適しており、最近では遠野市以外でも見かけるようになってきています。
まとめ
ジンギスカンは、その名前の起源、特徴的な鍋の形状、さらには料理の伝播といった様々な側面で、興味深い歴史を持つ料理です。
チンギス・カンの名前や源義経との伝説的な関連、中国の伝統料理からの影響など、多彩な背景がこの料理の命名に寄与しています。
また、ジンギスカン鍋の形状も、その実用性と伝統的な意匠が組み合わさっており、日本各地、特に北海道での食文化に大きな影響を与えています。
地域ごとに異なる調理器具の使用や、地域性を反映した独自のアレンジが見られることは、ジンギスカンの多様性と普遍性を物語っています。
このように、ジンギスカンは単なる料理を超え、文化的なアイデンティティを持つ存在として、多くの人々に愛され続けています。